翻訳会社と文章の簡略化
ある翻訳会社の知人の話では、翻訳する際に説明くさい文章になってはいけないと言っていました。
例えば、小説などのシーンで、直訳すると「私は、ドアを開けて部屋の中に入り、荷物をおいた後に椅子に座り、これからどの様に行動するか考えた」という文章があったとします。
しかし、これは明らかに説明くさい文章だと言えるでしょう。
今の例ならば、「私は、部屋に入り一息つきながら、これからの事を考えた」で十分事足りるはずです。
わざわざ、ドアを開ける事、荷物をおく事、椅子に座る事を説明してしまえば、情景は浮かびやすいでしょうが、読んでいる方はなにかスッキリしない文章のイメージを受けます。
英語に必要な文章だからと言って日本語でも必要な文章だとは限りませんし、時には読み手の想像力を煽り、文章をすっきりさせるためにも文章を簡略化させるのは必要な事なのです。
ですが、サスペンス小説などでは、その様な一挙手一投足が意味をもっている事がありますので、安易に言葉を削ってはいけません。
ドアを開ける事、荷物をおく事にも伏線が隠されているかもしれませんので、その様な部分を削ってしまえば、読者の推理する楽しみを奪ってかもしれません。
ですから、翻訳会社や翻訳家にとって文章の簡略化の部分は難しい場所と言えます。
和訳と英訳
翻訳では言葉を理解するよりも、それを文章に直す事の方が難しいと言われています。
どの様な意味かというと、英語の小説を日本語の小説に翻訳する際に、英語を理解するのは簡単なのですが、それを日本語に直す事の方が難しいという事です。
それは、逆であっても同様であり、日本語の小説を英語の小説に直す際にも日本語を理解するよりも、それを英語直す事が手間になるのです。
例えるならば、漢字を読むよりも書く事の方が難しいと言えば分かりやすいのではないでしょうか。
そして、翻訳会社などに勤めている人間は日本人ばかりだとは限りませんし、日本語に精通している外国人も多いのです。
日本人がいくら他国の言語を学んだ所で、日本で生まれ育ったからには日本語以上に扱える訳ではありませんし、それは、外国人も同様なはずです。
ですから、英文を日本語文に直すのは日本人が行い、日本語文を英文に直すのは英語を母国語としている外人が担当するはスタンダードになっているそうです。